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zoom RSS 「舌がキエフまで連れて行ってくれる」、あるいは、ロシアの街なかに案内図が少ないことについて

<<   作成日時 : 2007/08/07 03:31   >>

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 皆様お元気でしょうか。私はここ数日、歯痛に耐えて暮らしてまいりました。日本で治療が済んだはずの歯が、治療の不足だか予後のメンテナンスが悪かったかで鈍い痛みに襲われています。幸い、当地の薬局で処方してもらった痛み止めが効いているので何とか耐えられてはいますが、結構不便&苦痛な日々を送っています。ちなみに、保険がきかないこともあって、歯医者に行く決心はいまだついていません。
 このブログでキエフ紀行文の続きを書きたいのですが、そんなこともあってここ数日更新が途絶えていました。さて今日の話題は、表題から受けるであろう予想には反して、キエフ紀行文ではありません。ちょっとそちらはお休みさせていただきたく。

 私がロシアにはじめて来たのは4年前のことだったが、街なかに案内図・案内板が極端に少ないのには驚き、面食らった。さすがに地下鉄の中などでは、路線図や、どこが乗り換え口か、出口か、ぐらいは表示されているが、街なかや観光名所では、近辺案内図というやつをほとんど見かけることがない。そもそも目の前の建物が何なのかすら、目立たない標識に表示されてあったりして、わかりにくいことが多い。ガイドブックだけを頼りに一人ではじめての街をうろうろする旅行者にとって、これはわりと不便に感じたことを覚えている。
 それではロシア人はどうしているのか。彼らだって広大なモスクワの地図をすべて記憶できるはずもない以上、初めての場所などでは目的地にたどり着けず困ることだってあるわけなのだが、どうもそういうときには周囲の人に尋ねて解決しているようだ。
 そう、この街では、東京などに比べて、見ず知らずの人に誰かが道を尋ねている光景に出くわすことが多い。私も合計三回ほど、尋ねられたことがある(そのうち一回は、まったくお役に立てなかったが)。そして尋ねられたほうも、当たり前のような顔をして親切に教えている。
 なんだか、もともと社会主義国だったわりには、こういうところは自己責任に任されているようだ。いや、逆に、日本の親切さのほうが特殊なのだろうか。日本では都市構造からいって道を説明するのが難しい(道は大概狭く、曲がりくねっていて複雑怪奇だし、番地の割り振りもそれに相応して覚えにくいものになっている)ので案内板でも作るしかしようがない、ということもあったのかもしれない。
 ロシア語には「舌がキエフまで連れて行ってくれる」という有名な諺がある。これはどうも、「渡る世間に鬼はいない」と「案ずるより産むが易し」の両方とかぶるところがあるのか、「見知らぬ土地で困ったことあっても、誰かに尋ねていけば、あなたよりよく事情に通じている人が教えてくれ、助けてくれるのだから、あまり心配しなさんな」というニュアンスのような気がする(ただし、実地で使われているのに接したことはないので、この私の見解はあまり当てにはならない、ということをお断りしておく)。山口瞳がエッセイの中で、ヨーロッパで6歳の女の子が一人で平然と飛行機の中に乗っていた、というエピソードを評して、「困ったことがあっても誰かに聞けばいい、という安心感が、あちらにはあり、それがこの少女の泰然たる態度に表れているのではないか」ということを書いていたが、まあ、そういうことだろうか。当地では、人に尋ねるということに対するハードルが低いのだ。裏を返せば、みんながそうやってなんとなく問題を解決してしまうものだから、規則や手続きや道順に関するアナウンスは常に不足気味である(規則や手続きに関していえば、そもそも明確に共有された形でそれらが定められている場合が少ないから、公に表示しようがない、ということもあるかもしれないが)。
 さて私はといえば、大分モスクワの空気に慣れてきたとはいえ、やはり親切なアナウンスに甘やかされてきた日本人であって、人にものを尋ねる際にはどうしても躊躇してしまい、精神的なハードルを乗り越えなければならない。方向音痴ではないので道に迷うことは少ないが、どこへ行って何をすればいいのかわからず悶々とすることは、当地では割と起こっている。やれやれ。

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