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zoom RSS 近況と、ウクライナ・ナショナリズムをめぐって若干

<<   作成日時 : 2007/08/12 01:11   >>

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 日本は全国的に猛暑だそうで。ご愁傷様です。
 などと見下ろすかのように言いましたが、当地モスクワでも午後6時ごろは結構な気温になります(不思議なことに、この時間が一番暑い)。おまけに数日前から、発熱と胃腸の不良に悩まされていて、今日などはかなりダウン気味、一日部屋で過ごしておりました。8月に入ってから、精神面はともかく体調はどうもいけないな。気力の残っているときを捉えて読書・勉強するようにしていますが。
 20代前半まではどんなに無茶苦茶な生活を送っても、翌日休養すればなんともなかったのだが、近年は所々、体にほころびがみえており、不調が慢性化する傾向があります。これが年をとったということか…

 ところで、だらだらと続けていたウクライナ紀行、そろそろ締めくくりたいのですが、最後にどうしても、ウクライナ国家の現状、特にこの国のナショナリズムについて書かないわけにはいきません。

 よく知られているように、2004年の選挙ですったもんだの挙句に当選した大統領・ユーシェンコは、現在、露骨な西欧よりの路線を進めていて、EC加盟も目指しているようです。こうした路線はロシア側の激しい反発を呼んでいて、2005年暮れー翌年正月にかけての両国間の「ガス戦争」(天然ガス供給をめぐるかなり醜悪な争い)も、なりふり構ってられないほどロシア側がこのウクライナの姿勢に怒っていることを象徴しているように思います。
 もちろん、ウクライナ政権の意思だけにこの問題を帰着させることはできません。識者の論評を読むかぎりでは、この国の権力中枢と深い癒着関係にある財閥の思惑などが複雑に絡んでいるようで、専門家ではない私などにとてもこの点の深い分析はできません。このエントリーでは、短い旅行、それもキエフという首都に限定した旅行から得た、この国のナショナリズムがどれほどの力を持ちえており、中長期的に持ち続けられるのか、ということについての勝手な印象を書き留めるだけにしておこうと思います。

 愛国心の盛り上げと、同時に西欧への接近への煽りは、キエフの街中でしばしば感じることができました。「われわれのウクライナ!」などというプロパガンダにもしばしば接したし(モスクワではー意外にもーこの手の愛国心盛り上げの文言に接することは少ないので、印象に残っています)、テレヴィのキャスターもロシア語スピーカーのゲストに対してもかたくなにウクライナ語で対応しているし(一方がロシア語で、一方がウクライナ語でしゃべりながら問題なく議論が進行している様は、見ていて面白かった)、「ウクライナの心の宝」博物館なんてものもたいそうな金をかけて作っており、解説は英語だし(先日の記事をご参照ください)、「独立記念広場」なんて広場に巨大なモニュメントが立っているし(「お前ら、いったいいつそんな威張れるような独立したんだよ」、と突っ込みたくなりません? ならないかなあ…)、ウクライナの国旗は青と黄色の二色なのですが、地下鉄の車両はみんな青と黄色で塗られているし(これは、まあ、かわいいもので、別にいいのか)、外務省の立派な建物の前にはウクライナ国旗とEUの旗がこれ見よがしに並べて掲揚されているし、市内でロシア語はまず見かけないし、まあ、わりと露骨です。
 気持ちは半分はわかります。キエフはモスクワなどよりも歴史ある、由緒ある町だし、国の半分はポーランドやハプスブルク帝国といったより「文明的」な国に属していた時期が長かったし、ウクライナ独自の文化、というのもなかなかに見過ごせぬものがあるし、ロシア=ソ連のような「野蛮国」に「支配されていた」時期のことなど忘れたい、せっかく独立した以上、大国とは言わないが一国として認めてもらいたい、という気持ちは半分はわからないでもない。
 しかし、私は、もう半分で、どうにも納得いかないわだかまりが残るのです。はたしてこの国、ロシアとの共存を危うくしてまでも無理な自主路線を今後歩むほどの、経済的、そして何よりも民族的・歴史的必然性があるのだろうか? と思うのです。ウクライナ人は怒るかもしれませんが。
 これが、朝鮮、ポーランド、グルジア、といった国であれば、大国に蹂躙されてきた歴史に悲憤慷慨のあまり民族感情を盛り上げていこう、という動きも、理解はできる(私は、諸手を挙げて賛成はしたくはないのですが)のですが、ウクライナの場合、かなりその歴史はロシアと渾然一体となっており、言語・宗教・文化的特質、どれをとっても、なかなかその独自性が見えにくいなあ、と思うのです(現に、隣国、ベラルーシはナショナリズムを主張しようにもあまりにその論拠が希薄なので、一向に盛り上がっていない。「ベラルーシといっしょにするな」、と、ウクライナ人には怒られるかな)。
 これは単なる予断と思われるかもしれないが、キエフの道を歩いてみても、「ここはやはりロシアとは違う、別の世界だ」というような、旅行者がロシアからフィンランド、ポーランドに出たときに感じるといわれる感想は、私はまったく感じませんでした。もちろん、モスクワとの違いはたくさんあって、それについては先日このブログで面白おかしく書きましたが、基本的には同じような国、との感慨しか抱きませんでした。
 人々は当たり前のようにロシア語をしゃべっているし、そもそもキエフにはロシア人も多く住んでいるようです。ウクライナ語でがんばって放送をしているテレヴィ曲も、ドラマやなんかはロシアのものを流しています(いや、いまは過渡期で、いずれはわれわれも独自のドラマを制作…ということなんでしょうか。ウクライナ語の字幕をつけていたが、果たして必要なんだろうか? と思ってしまった)。町並み、建物、公共交通機関も、私が細かく観察しなかっただけかもしれませんが、基本的にモスクワと変わりありません。このような国であえてロシアに背を向けて民族感情を盛り上げようとするのは、どうも、皮膚感覚の次元で無理があるのではないでしょうか。
 経済的にこの国がロシアに多くを負うていること、これまでもロシアとの共存関係を維持してきたこと、などの分析はほかの人に任せるとします。私はただ、歓迎してくれるように見えて案外に自分たちの物差しでしか他国を見ようとしない西欧の金持ち諸国に、この国が食い物にされないように、と希望するばかりです。

 隣国と経済的・文化的に深い共存関係にあるにもかかわらず、その国との関係から目をそらし、居丈高なほどの民族感情をあおり、そのくせ西欧やアメリカには低頭する。そういえば、北東アジアになんか、似たような島国がありましたな。私がいまひとつウクライナの現政策に同情的になれないのも、近親憎悪の故かもしれません。

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