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zoom RSS ヒムキ(Химки)遠征記

<<   作成日時 : 2007/09/06 07:29   >>

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 「研究生活のこまごまとしたことはあんまり書きたくない」といった口の舌も乾かぬうちから、変なことを書きます。何せ昨日(水曜日)はとある場所に行ってきてかなり大変だったので、愚痴も兼ねてちょっと言いたくなったのです。まあ、愚痴とはいえ、ロシアで研究をやろうかと考えている人には参考になるかもしれません。

 ヒムキ(Химки)、というのは、モスクワ郊外にある市の名前なのだが、ロシア関係をやる研究者にとっては「恐怖の図書館」の代名詞として知られている。そう、この町に、国立図書館−日本の国会図書館のようなもの、一般に「レーニン図書館」として知られる−の分館があるのだ。2ヶ月間レーニン図書館通いをする中で、私に必要な本のうち、3冊ほどが、このヒムキにあることがわかってきた。そして、ついに昨日、ここに意を決して向かうことにしたのである。何せわれわれの仕事、原則として、どんな本であれ資料であれ、ありかがわかった以上は、地の果てであろうとそこに向かわねばいけないのだから。
 この図書館については寮の先輩を通じてさんざん脅されていた。遠い、異様に見つけにくい、異様に使い勝手が悪い、等々。昨日の経験から言っても、おおむねこの評価はあたっていたと思う。

 ヒムキの住所はレーニン図書館の本館においてメモっておいた。「ヒムキ市、図書館通り」にあるという(そのまんまだ)。しかし、うかつなことにこのメモを当日もって出かけるのを忘れ―正確には、持っていったのだが、そのことを忘れ―、そのことが私のオタオタ度を加速させることになる。
 ともかく、12時ごろ出かけ、地下鉄に乗って、最寄り駅の「川の船着場」駅(いや、本当にこんな名前の駅なのです)まで行く。朝食をしたためるのに時間がかかって、また、少しぐずぐずしているうちに出かけるのが遅くなったのは失敗だったが、まあ、その後のハードさのことを考えると、腹ごしらえと食休みができていなかったら到底耐えられなかったであろうから、これぐらいでちょうどよかったのかもしれない。
 「川の船着場」駅はモスクワ中心部から北西に向かって延びる地下鉄の終着駅である。1時ごろ着き、出ると、なにやら駅周辺は雑然としている。ここからバスが発着するはずなのだが、どこから出るのやらさっぱりわからない。うろうろして、バスの運転手などに聞きまくり、ようやく目的のバスを見つける。バスというより、大型の乗り合いタクシーといったほうがいいようなものなのだが、料金は35ルーブル(約150円)だとか。高い…地下鉄の二倍かよ、と思ったが、仕方がない。「図書館通りまでね」と運転手に知らせて乗り込む。
 目的の「図書館通り」に着くと運転手が知らせてくれる。地図から想像するよりは意外に近かった。駅から10分、といったところか。
 しかし、正確な住所を覚えていなかったので、降り立ったあともこの通りに沿ってさらにうろうろする羽目になる。道行く人に聞けばいいのだろうが、どうも踏ん切りがつかない。途中「文化芸術大学」というものを見つけ、そこにたむろっている学生に、意を決して「図書館どこ?」と聞いてみたが、知らないとのこと。図書館通りに毎日通っているのに…と思ったが、考えてみればレーニン図書館の分館―言い忘れたが、ここには新聞、学位論文が主として収められているのだが、書籍の大部分は本館にある―には、通常の人間は用はないはずで、まあ、知らないものかもしれない。 もう一人、別の場所で道を尋ねようとしたお兄さんはごにょごにょ言って逃げていく。大変感じ悪し。
 (ただし、この図書館通り周辺は、緑地も多く、閑静な住宅街といった感じで、商店もちゃんとあり、交通の便を除けば、住んでもいいかも、と思えるような場所ではあった。)
 もう一人、ひょろひょろ散歩している爺さんを見つける。お、この人は地元の人っぽいし、不親切でもなさそうだ、と思い、思い切ってまた聞いてみる。「図書館? ここだよ。右手にちょっと入ってみな」
 右手奥。確かに、図書館っぽい建物がある。しかし、実はさっきもここに寄ったのだが、どう見ても「公共機関」っぽくないのだ。ドアも閉まっており、なんの標識もない。本当にここなのか?
 しかし、どうも建物を大回りして奥のほうに行く人々がいるので、とにかくついてみることにする。(以前もモスクワでとある機関を訪ねたとき、こんな経験があった。大通りに面したドアはまったく開いていないのだが、実は入り口は奥の手にあった、というようなことが。)すると、ありました、「国立図書館」と書かれたプレートが、やれやれ。
 入り口ではなぜか荷物検査が厳重に実施されていた。モスクワ市中心部にありはるかに利用者が多い本館ではほとんどフリーパスなのに、こちらでは厳重、というのは何だかおかしい気がする。大体図書館の中にはそんなに荷物を持ち込めない―クロークに多くの荷物は預けることになる―ので、そこまで厳重にやる必要はないようにも思うのだが。
 入館したはいいのだが、「雑誌コーナーはこっち」「学位論文コーナーはあっち」という表示があるばかりで、目的の本をどこに行けば手に入れられるのかわからない。うろうろしていると、親切そうな職員のおばあさんが声をかけてきた。「本館で、こっちに本があるといわれた」と言うと、「本…うーんどこかしら、でもまあ、とにかくあっちに行ってみたら。そこで聞くといいわよ」とのこと。おっしゃるとおりにすると、「ああ、本? それは私らのところじゃなくて二階ね。そこで言いなさい」。おっしゃるとおりにすると、「ああ、本? それは私らのところじゃないわ。この階の反対側に行きなさい。そこで言いなさい」とのこと。この間、二階もかなりうろうろする羽目になった。
 ようやく目当てのコーナーを見つけたときには、2時半を回っていたと思う。本館で示したのと同じ申請書類を提示したところ、「ああ、OK。申請受け付けるわ」とのこと。やれやれ。「いつ受け取れる?」との問いには「基本的には4時ね」とのこと。
 おお、今日中に受け取れるか。苦しゅうないぞ。
 一回外の空気を吸おうと思ったが、出口で警備員のおじさんに妙な難癖をつけられた―たぶん、どこかの印鑑が必要だったのだろう―ので、面倒くさくなって食堂に向かう。
 食堂は、本館とは違って料理する人はおらず、パン、カップ麺、保存食などしか置いていないが、売り子のお姉さんの対応は悪くはない。ピラフとコーヒーを頼み、しばし休憩。
 そのあと、コンピューター端末で若干、学位論文を検索、閲覧する。近年は便利になり、学位論文は全文、pdfファイルで閲覧できるようになった。これはわざわざここまで来なくても、本館でできる作業だと聞く。
 時間をもうつぶせないな、というころ、3時45分ごろ、若干早いかと思ったが、さっきの場所に向かい、申請した本を受け取れるか、聞いてみた。あっさり出てくる。やれやれ。
 そのあと、受け取った3冊を相手に2時間奮闘する。細かいことは略するが、とにかく、2時間でやることはやった。
 この分館は6時で閉まる。コピーは5時まで。5時半になるとおばさんが読書室に入ってきてチャイムを鳴らす。私も疲れていたのと、もうやることはやったので、5時40分ごろ、おさらばすることにした。
 帰りは大型バス。パンを買い食いしつつ、通りをふらふらしていたところ、たまたますぐに見つかったのでよかったが、バスを見つけるのも本来は一苦労だっただろう。料金は20ルーブル(100円弱)。行きほどではないが、やっぱり、ちょっと高い。
 「船着場」駅近くについた後は、のんびり市場などを冷やかす。
 地下鉄に乗り、寮に帰ったのは7時半を過ぎていた。まあ、「本を申請し、受け取る」という当初の目的は達成できたし、その本を使っての仕事も今日中に終えることができた―つまり、当分もう一度行く必要はない―ので、よしとしよう。悪くない一日ではあった。

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