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zoom RSS 羽入辰郎『学問とは何か』(2008年)をながめた

<<   作成日時 : 2008/07/17 23:49   >>

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 先月末にミネルヴァ書房から、マックス・ヴェーバー読解をめぐる羽入―折原論争の一方の当事者、羽入氏による反駁書が出ていた(論争についてはこちらを参照)。今日、大学の生協でひっそりと売られていた(新刊書コーナーには置かれておらず、気づくのが遅れた。はは)のを発見し、500ページ以上はあろうかと思う本の重さに耐えながら、ぱらぱら立ち読みした。
 この論争については私も先春、某研究会にて、「専門家の倫理」を考えるというテーマの一貫として取り上げて発表したことがあり(ありがたいことに、それなりの反響が得られたようです)、この本の出版は、まあ、待ち望んでいたことでありました。一方が反論に乗り出したことで、ようやく(少なくとも形式的には)論争が論争の体をなすようになった、ということですからね。

 で、感想はというと…ううむ、なんといいましょうか、今日立ち読みした部分は100ページにも満たないだろうが、その中だけでも、権威主義を批判した気になっている権威主義者にまつわる悲哀がひしひしと伝わってきて、痛々しく感じました。その反論方法のあまりの低次元ぶりに、批判されている当事者の側もあきれ返って応答する気をなくしているのではなかろうか(私の知る限り、もう一方の当事者からのこの本に対する再反論はまだ見られない。あるのをご存知の方、いらっしゃいませんか)。この論争、学者たちの羽入に対する対応の仕方にも問題はある、とは思っていましたが、これでは情状酌量の余地も無し、というべきか。そんなわけで、6000円払うのはやめました。上述したような研究会発表までやった身としては、今後この論争をもとに研究を続けるとした場合、買うべきなのでしょうけどね。

 羽入に限らず、こういうディレッタントの居直りという現象がなぜ出てきたか。これは本当に、興味深い(私の本来の専門分野―1930年代ソ連物理学史―とも無関係ではない)。今日立ち読みの後に、図書館であれこれ考えたのですけど、長くなりそうなのでまた今度にします。非常に広くて重いテーマなので、そもそも今後まとまるかどうかわからないのですが・・・

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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
気に入らないので消去されたようですが、どうせなら記事そのものを消された方がいいかと。まともな研究者であればせめて本論と、そしてできれば「倫理」論文の関連箇所を見てからものを言うべき。(読んでないことは貴方の記事から分かります)。科学史ってこの程度でも研究者づらできるのかね。
ミンククジラ
2008/07/22 08:20
ミンククジラさん、先日のコメントですが、この記事につけられたまったく別のスパムコメントを消去した際、誤って同時に消してしまったようです。すみません。
この記事は、別段書評として書いたつもりもなく、単なる感想・印象記です。そのことはタイトルのつけ方をはじめ、この記事の記述方法によって示しているつもりです。この記事をもって当該書籍に対する決定的評価とする、というのでもありませんし、今後当該書籍を対象にして学問的な場での発表を行おうとする際には、無論本のすべてに目を通した上で行うでしょう(実際、羽入氏の前著はすべて読み、折原氏の批判と照らし合わせて検討しました。ヴェーバー研究者でもない当方にとってこの論争に関して自分なりの意見を形成することには困難さが付きまといますが、一応そこまでの努力は払っています。さらに言えば、このような激しい論争的著作の場合、本論部分の詳細な検討を待つまでもなく論争の手法・語法等をざっと把握するだけでも、本全体が十分な検討に値するかどうかは、かなりの蓋然性で分かるものとも思います)。
(続く)
金山浩司
2008/07/23 17:55
(承前)
確かにブログといえど感想程度のもの(それも幾分決めつけた書き方をしたもの)を書いたのは少々軽率だったかもしれません。そしてミンククジラさんによってまともに相手にするべき書評としてこの記事が受け止められたことは、一面名誉なことではあります。ただ、それほどのものではない覚書のつもりで読んでいただければと思います。こうした私的な場所で専門外の著作に関する印象記を記したことが研究者としてのモラルを決定的に踏み外すことであった、とは私は思っていません。
金山浩司
2008/07/23 17:56
金山さん、今晩は。
私は、羽入氏の新刊本購入後3日くらいで、私が関連する部分の再反論を自分のブログにアップしています。ご参考まで。
http://www.shochian.com/blog/index.php?itemid=1345
t-maru
2008/08/07 22:26
t-maruさん、こんにちは。
ブログ記事、拝読しました。お知らせいただき、ありがとうございます。
共著論集も、近いうちに読ませていただきます。
金山浩司
2008/08/10 05:18
覚えてないと思いますが歌劇団にいた野間です。このような形で貴君に再会するのは意外でした。単なる感想といっても検索結果でけっこう上の方に出てくるの自覚してよね。先日はじめて当該書籍を目にして驚いて検索してみたらコレが出てきたというわけよ。まあ学問とは全然関係ないワタシの目から見れば、お互いの学問的不誠実を挙げつらっている双方とも、ウェーバーの名前を使ってオノレの卓越性を見せんとする言説ゲームによくこれだけムダなエネルギーを注ぎ込めるものだと思います。金山君もこんなクダらない論争から手を引いた方がキャリアのためだと思う。でもまた、ずんぶんとマニアックな世界にハマりこんでいるのね。うまくサーバイブしてくださいね…。
野間健司
2008/10/30 22:22
野間さん、覚えておりますよ。10年ぶりですか。
いろいろとご忠告ありがとうございます。
「オノレの卓越性を見せんとする言説ゲーム」が「ムダ」であるとの一言で切り捨てられてしまったら、我々(そして過去数千年間にわたる言論人)は立つ瀬がない、といいましょうか(苦笑)。ムダではない言説ゲームって、どういうものでしょうかね。
私自身には別にこの論争が「クダらない」とは思えないのですが。ヴェーバー解釈云々はともかくとして、現代のアカデミズムと大衆社会との関連を考える上ではとてもいい題材だと思います。せっかくのご忠告ではありますが(「キャリアのため」とのお言葉はよくわかりませんでした)、今後もこの論争について考えることをやめることはないでしょう。
金山浩司
2008/11/02 12:02
金山君、冷静に応接いただき、ありがとうございます。安易に書き込んでしまって、後悔していたのですが。(羽入氏側がウェブの論争に参加しなかったのは賢明かもしれない…)

ふつうのキャリア志向の研究者なら、おだやかにスルーするだろう、と思っていたのですが、金山君がこの問題を考え続けるということは立派なことだと思います。ただ、学問と社会の関係といわれるが、これだけの泥仕合になると、世間は主張の当否より、嗚呼東大的という感じのする私怨絡みの応酬を面白がるだけでしょう。学問論争であってもこのような脱線が生じる背景まで踏み込めると、興味深い研究になるかもしれないですね。

ただひとつ学者らしくない拡大解釈があると思いますが、学問論争自体がムダだとは言っていません。この論争については、これだけの書物を充てるに値する生産性があるのかどうか疑問だと思ったのを、端的にムダと言いました。金山君の本文にいう「権威主義者を批判した気になっている権威主義者」も、きわめてミイラ取りがミイラになりやすい症状です。そんなことも含めて、リスキーだと思いますが、気をつけて。
野間健司
2008/11/02 22:20
論争が泥仕合になっていく過程というのは、不謹慎ながら、はたから見ている分には非常に面白いです。私が専門にしているソ連においても同様のことがあり(実は、まさにそういった泥仕合化の過程分析が、博士論文のうち一定部分を占めることになりそうです)、その意味でも、この論争に興味を持ち続けことは専門家としての私にとっても無駄ではない、と感じている次第です。
もともと学問的な論争だったはずのものが「私怨絡みの応酬を面白がるだけ」というような受容のされ方をされてしまうというのも、悲しいと言えば悲しいですが、そこに働く社会的文化的メカニズムの解明は面白いと思います。
それはともかく、ミイラ取りがミイラにならないよう、冷静さを保ち続けねばいかんな、と気持ちを新たにしました。どうもご助言ありがとうございます。
金山浩司
2008/11/03 11:58
羽入氏は確かに折原氏同様に性格がアレだが、彼のいっていること自体は正しい。ディレッタントと決めつけないほうがよい。

結局のところルターが該当の場所でBeruf という語を用いなかったのは事実だし、それをいかにいいくるめようとしても無理がある。
かなぁ
2017/03/25 05:07

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