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zoom RSS 看過されるロシア

<<   作成日時 : 2010/03/30 03:44   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 7 / トラックバック 0 / コメント 10

 29日月曜日朝のモスクワ地下鉄爆破事件はもちろん、当該都市在住者の私には衝撃的であった。今日はやはりというか、一日落ち着かない気分でした。
 安否を気遣うメールやメッセージをくれた皆様、ありがとう。あなた方のことは一生忘れませんよ(ホントに)。

 ロシア語のニュースサイトを見ていると、刻々といろんなニュースが入ってくる。まさにてんやわんや。

・大統領は「テロとは最後まで戦う」との言明。
・首相は「被害者の家族に慰問金を払う」ことを約束。
・旧ソ連邦構成諸国や米国をはじめ、各国の指導者たちが次々にお悔みの表明(日本の某首相はどうなのだろう。どなたか情報をお持ちの方は是非お知らせください)
・各宗派(正教、イスラム教、仏教等々)の宗教指導者たちが今回の事件に対して義憤と哀悼のメッセージ。
・医者だけでなく、心理カウンセラーも病院等に駆けつけている。
・某大手電話会社は、今日分のモスクワ市内通話に関しては通話料金を徴収しないことにした。
・実は前日日曜日に警察が別の地下鉄駅で爆発物を見つけていたことが今になって明るみに出されたり。

 もう大変な騒ぎです。

 警察もロシアでは(というか日本以外では)異例のことながら、被害者の氏名を判明分に関しては公表している。それを見る限り、私自身の知人友人は巻き込まれてはいないようだが、それにしても日々顔を合わせ、付き合いのあるロシア人たちの同国民が何十人も犠牲になったのだ。ロシア人たち、あの、誇り高いが他者に対してはきわめて寛容で公正で、自分の意見にこだわる一方かけがえのない一人ひとりの個人性を何より重視しそれに敬意を払い、裏表なくさわやかで、内省的であると同時に冗談好きで、能天気ではないが楽天的で、何事にも、とりわけ人助けには大真面目で取り組み、野郎どもは気さくで開けっぴろげで、女の子たちは情熱的で、学者たちは我が国や欧米の大学の先生たちよりもはるかに知識人としての貫録を有している、そのロシア人たちが、犠牲になったのである。名簿を見ると死傷者には私と同世代の男性が多く、さらに外国人も3人見受けられる。とても人ごととは思えない。

 ひるがえってわが国でのこの事件に対する反応はどうだろうか。私は今日、Twitterでのタイムラインを目をこらして見つめており、普段いろいろな問題について傾聴すべき意見を吐いている「論客」たちが、何かこれについて述べてくれないか、待っていた。
 しかし、結果は暗澹たるものだった。今日も普段と同じく、何十人もの日本人「論客」たちが何百ものつぶやきを吐きだしていた。しかしそのうち、私が確認できた限り、モスクワのテロ事件に言及していたのはわずか二人(ポスト数で言えば三つ)にしか過ぎなかった!
 正直言って、この事実に私はテロそのものと同程度の戦慄をおぼえたものだ。大学制度や学術政策に関して盛んに欧米「先進国」での政策について引き合いに出しており、「国際派」という印象を植え付けているその人々が、ロシアでのこれほどの大惨事に対して、まるで無関心のように見えるのである。
 ただちにそういった人々を個別に非難しようとは思わない。いや、そもそもこうしたことはべつだん罪悪とは言えない。ただ、私個人は暗然たる気分になった。わが国の人々にとって、隣国ロシアが被った悲劇というのはこの程度の重みしかもたないものなのである。むろん、別にロシア国家に罪やこの事件を引き出した原因に対する責任がないというのではない。しかし、そういうことではなく、単なる遺憾の感情すら、私の見る限り表明されなかった。感情の次元を超えたところでも、この事件が意味することについていささかなりとも考察したような意見を、私は今のところ聞いていない(もちろん、わずか一日でそのようなものの出現を期待するのは要求が過大かもしれない、にしても、だ)
 私は、今頃わが国におけるロシアという国の地位や存在感の低さに気付いた―あるいは気付くまいと努めていたのか?―自身のナイーヴさを、いささか恥じている。そう、我が国では、苦労してロシア語を学び、この国の歴史や文化や現状に対して一般人以上の知識・見識を身につけても、それに対して耳を傾ける土壌がそもそもないのかもしれない。とりわけ現代では。

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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
昨日は風邪があまりに長引くので、夜勤のあと病院に行って、帰ってきてPCも開かず寝て、そのまま起きてまた夜勤に行き、ついさっき帰ってきてニュースサイトを見て事件を知り、じゅにさん大丈夫かと思って、とりあえずブログの更新を見て無事を確認した次第です、という言い訳。
だいご
2010/03/30 11:56
いやいや気遣ってくれてありがとう。
別に私個人の安否を気遣ってほしいわけではなく(もちろん気遣われればうれしいですが)、一般的に、この大事件に際して日本人は何も思わないのか、との衝撃が強いです。本当、我らが同胞たちにとっては、ロシア人がどうなろうと知ったことじゃないのですなあ。
kanayVc
2010/03/30 19:50
いやもちろんじゅにさんの気持ちはわかります。まぁ親しい人間のことがまず気になってしまうことは許してくだされ。

でも、実際その通りかもしれません。サウジアラビアで公開斬首刑が行われても、アフリカ・ブルンジで刑事被疑者への私的報復リンチが政府によって黙認されていても、ビルマで2100人以上の政治犯が収容されていても、韓国で地下鉄事故が起きて多数の死傷者が出ても、そういうことに対して、多くの人は無関心で他人事です。米国のこととか、日本に誰もが認識し得る影響が直接及ぶこと(チリ地震とか)以外、報道もあまりセンセーショナルにされません。
これは今に始まったことではなく、これまでもそうだったと思います。大事なことは、たとえばロシアについてはじゅにさんのように現地にいる人だったり強い関心を持つ人が、こういうふうに騒ぎ立てることで少しでも草の根的に啓蒙していくことだと思います。
だいご
2010/03/30 22:13
いや確かに。地道な訴えは大事ですね。
ところで前から言いたかったんだが、何だか日本のマスメディアって姿勢が内向きな気がするのだが。ロシアのメディアと比べてもそう思う。メディアの報道を見聞きしても結局のところ海の向こうで何が起こっているのかよくわからない(うまく言えないのだが)。
島国だから・世界の辺境だから仕方がない、のですかね。
kanayVc
2010/03/30 23:00
じゅにさん、ご無事で何よりでした。会社の情報端末で流れてくるニュースを見た時に、一番はじめに「じゅにさん、大丈夫かしら・・・」と思いました。少なくとも私が生まれてから知る限り、日本のメディアは内向きです笑。
ふじなみ
2010/03/31 01:41
ふじなみくん、お気遣いどうも。そういえばこのコメント欄には数年ぶりの登場かな? コメントありがとう!
日本のメディアの内向きさをどう表現したらいいものか、私も今、何とか言葉を見つけたいな、と思っているところです…(見つけられればこのブログにも独立したエントリーを書いてみたいと思ってるのですが)
kanayVc
2010/03/31 04:17
はじめまして。
twitterからこちらのブログを知りました。
私は今モンゴルの大学で働いています。
同僚のモンゴル人の先生は30年程前にモスクワに留学しており、今は自分の娘さんがモスクワに居るそうでテロの件には大きな衝撃を受けていました。
私にとってあの事件は安易にコメントできるものでは無かったため、逆にtwitterには書きこめませんでした。

ただ、多くの日本人にとって(私にとっても)ロシアは遠い国だというのは事実だと思います。ロシアだけでなく、多くの国の事件は、その国に知り合いがいない限り遠い世界の話になってしまうのは仕方の無い事だと思います。残念ですが。

逆に、多くの国(アフリカ、中東、南米等)では、日本と中国と韓国が区別されていません。恐らくアメリカやヨーロッパでもそうではないかと思います。特に日本が外国の事情に対して鈍感という事ではなく、遠い国の事に興味を持てないのはどの国でも似たようなものなのではないかと思います。

いずれにせよ、今回のテロで犠牲になった方々の御冥福をお祈りします。
kitayamatakeshi
2010/04/07 03:51
コメントありがとうございます。
確かに、遠い国のことに興味が持ちにくいのはいたしかたないと思います(私とて、旧ソ連地域や北東アジア以外の国々で起こることに対して興味や熱意をもっているとは、自ら省みても思えませんし)。ただ私が残念に(あるいは悔しく)思うのは、隣国であり歴史的にも密接な(あるいはなさぬ)関係を保ってきたこの大国に対して、わが国ではその重要性に比べてもあまりにも関心が薄いのではないかということです。
日露関係というのは両国にとって、絶っても死活問題に直結するものではないので、精神的な距離感覚が生まれるのは仕方がない、という見方もありましょうが…それにしても。
kanayVc
2010/04/07 06:50
日本-モンゴルの関係は、第二次世界大戦でちょっと戦った事を除くといきなり元寇まで遡ってしまうので、近いわりに興味を持たれません。多分日露関係より一般の人の興味は薄いでしょう。モンゴル人は相撲を通じて日本に興味を持っていますが、やはり歴史的にはロシアとの結び付きの方が強いです。と言ってもロシア側からのモンゴルへの興味はこれまた薄そうですが…
kitayamatakeshi
2010/04/07 11:45
再度のコメントありがとうございます。
モンゴルとロシアはなさぬ仲といっていいのか、ともかく関係が密ですよね。
まあ、人口や国際的地位からして、申し訳ないが日本側から見てのモンゴルへの関心がロシアへのそれよりさらに、圧倒的に低いのは、致し方ないかと思います。こう思ってしまうところが私のいやらしいメジャー志向の表れでして、マイナーな対象を研究したりなどされている方には怒られるかもしれません…
kanayVc
2010/04/09 05:54

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