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zoom RSS 文書館は楽しいよー

<<   作成日時 : 2010/09/10 03:07   >>

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 一昨日のことだが、東京から短期でモスクワにいらっしゃっている若手研究者S氏を科学アカデミーの文書館にお連れし、利用登録や史料の請求など行った。S氏は日本人としては数少ない(日本人でなくとも数少ない)、ソ連科学史を本格的に研究なさっている篤学の氏。すでに数年間にわたって意欲的に研究活動を行っておられ、博士号も取得なさっているが、訪露は今回が初である。
 やはりこの国に関する驚き(「思ってもみなかった」というプラスのそれと、「思ったよりは」というマイナスのそれと、双方)をいろいろと感じておいでのようで、すれっからしの私なども、彼をさまざまな場所に引き回し彼の反応を観察することで、新鮮な気分を味わわせていただいている。
 ロシアの文書館には史料閲覧に至るまでいろいろと手続きがあり、しかるべき研究機関から紹介状を受け取ることから始まり、ズラリと史料名が並ぶ目録を見て目当てのものを申請することまで、S氏にとってはきっと新鮮さに満ちた興味深い過程であったであろう、と信じたい。
 今日目録を見た見た限りではそれほど大層な史料があるようには感じなかった、とのご感想であったが、まあ史料は実際に開けてみないとわからないものであるし、仮につまらないものしかなかったとしても、それを確認するだけでもそれはそれで研究の進展ではある。口はばったい言い方になるが、文書館で雑然とした史料の山を見てみる、というのは、ある対象(個人やら機関やら)を、目立った、よく知られている事件や事象をつないで歴史記述を作るという、「点から線へ」の過程ではなく、対象を取り巻くあらゆる状況―たとえば、その個人や機関がこれこれの時期に主にどういった問題に対処しようとして日々活動していたのか、といった―を見たうえでそこから取捨して歴史記述を作ろうという、「面から線へ」の過程に属することである。「面」を知ることで、「点」だけを見ていたのではつかみにくいニュアンス、対象に対するカン(うまく言えないが)のようなものを得ることができる。これこそが文書館史料をまとめて見る一番の効用であろう。こういったカンは、そのニュアンスを最終的に明示的に言語化するかは別として、論文をいざ書くときに必ずや糧になる、と私は信じている。
 そういう積極的側面があることを知ってしまったがために、歴史研究においてはいろいろなステップがあれど、私には、文書館にこもってカタログや生の史料を眺めている時が一番楽しい(逆に一番苦しいのは、自分の書いた論文を読み返して修正する過程かな)。S氏も、この文書館作業の麻薬のごとき悦楽を知って、病みつきになって、ひいてはロシアに長期滞在してくれないかしらん、とひそかに希望しているのである。

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