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zoom RSS ジョージ・ソロスはこんなヤツだった―ある科学史家の回想より

<<   作成日時 : 2011/10/15 23:42   >>

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 ハンガリー生まれの投資家・慈善家であるジョージ・ソロスが、ウォール街での格差社会反対デモを裏で支援しているという話があるそうだ。 (ロイター通信記事
 米国でもかなり上位に名を連ねるという大富豪にして、格差社会への反対者とは、何とも奇妙ではある。このソロスという矛盾した(ように見える)人格について、米国の高名な科学史家(ロシア・ソ連科学史が専門)であるローレン・グレーアムが回想している。グレーアムは1990年代前半、崩壊後混迷を極める旧ソ連の科学・技術を援助する、ソロスによって設立された資金の顧問を務めていたのだ。この種の基金はいくつかあったが、ソロスがこの領域に進出するや、ほかの米国の基金はその存在がかすんでしまった。それほど、ソロス基金から供出された援助は莫大なものだったらしい。

 グレーアムによればソロスは「子供のころから黙示録的な幻想にとらわれていた」複雑な人格の持ち主であるという。「こうした幻想を制御こそしたが抑え込むことはしなかったということもあり、彼は史上最も成功したヘッジファンドのマネージャーとなった」(Loren R. Graham, Moscow Stories (Indiana UP, 2006), 263)。
 ソロスは自らが誤りを犯しうる存在だと進んで認めることができたと同時に、恐ろしく傲岸不遜であったとグレーアムは述べており、そのために耐えかねて顧問を辞そうかと思ったこともあるほどだったらしい。
 ソロスのやり方は時に実に荒っぽかった。1992年、ロシアの科学者の経済的な窮状が伝えられる中で、ソロスは一人当たり500ドルの資金援助を決意し、グレーアムに向かってこんな難題を出したとか。「ローレン、君はロシア科学のエキスパートだろう、旧ソ連で最良の科学者2万人の名簿を提出できないか。」(Moscow Stories , 265)グレーアムは非常に驚愕した―このやり方をとろうと思えば、どうやって最良の科学者を選ぶのか、金をどうやって届けるのか、問題は尽きない―が、ともかく数週間以内にやり遂げたというからあっぱれなもの。
 ソロスの慈善事業はロシアのマスメディアには疑いをもってみられ―頭脳流出を促している、文化的侵略をたくらんでいるなど、当時、ソロスに対する中傷記事が多く見られたそうだ―、彼は傷つき、この分野からやがては撤退していく。グレーアムはこれらの中小は濡れ衣であるとしながらも、ソロスが慈善事業と投資事業との区別をやがてあいまいにしたことについては残念に感じている、という。1996年にはソロスはロシアのある放送局に投資するようになっていった。これ以降、グレーアムも―彼の善意に対する信頼は保ちつつも―彼の基金にかかわるのをやめてしまった。

 グレーアムは次のように書いている。「ソロスの投資家としてのきらめきには、哲学者、利他主義者、改革者としての動機が混ざりこんでいる。あまりに財産を持っているがため、ソロスが行うことはみな、よいことも悪いことも、規模が膨大になり、そして彼のあらゆる特徴―善意、強欲、莫大なエゴ―は、目も眩むほど、大きく映し出されるのだ。」(Moscow Stories , 275)
 強欲にしてはかりしれない善意の持ち主。吝嗇にして豪放。謙虚にして傲岸。資本主義システムにおける最強の勝者の一人でありながら同システムへの反逆者。なんとも、矛盾と魅力に富んだ人格ではある。

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