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<<   作成日時 : 2005/12/06 09:36   >>

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 このブログでは、あまり引用はしないー印刷されたものからであれ、ネット上からであれ、ーことをモットーにしている。稚拙であっても自分の言葉で正直に語ることこそものを言う際のルールだと考えるからだ。引用は自説の補強や自分が話題にしたい事柄の題材として使う場合にのみするべし。

 しかし時には、これ以上つけくわえる必要がない、とにかくこれを見てくれ、という文脈で引用したくなる文章もある。以下のものは、歴史研究者がみな心するべき忠告だと思う。

〔…〕研究の入口でまず決めたテーマから出発して、研究が進展するとともに、試行錯誤を重ねながら、ついに終生のテーマに到達する、というのが幸運な研究者です。/現代史では、そういう幸運を享受することは必ずしも容易ではありません。激しい変化の時代においてはとくにそうです。知的流行は、めまぐるしく変わり、衝撃的事件がつぎつぎと起こります。これらに影響されて別のテーマに移動したり、ジャーナリズムの要求に屈してテーマを変更する(名声と収入の誘惑が待ち構えています)こともまま見られる現象です。他方、時代の変化から「安全な」テーマへの「逃避」も見受けられます。/研究は、ひとつのテーマへの集中と持続とがなければ、したがって長い時間をかけなければ、実りを収穫できませんが、そうした態度を保つことは現代史では、とくに今日では、きわめて難しいのです。知的流行を追うことも、安全なテーマへの逃避も、そういう態度とは相容れない選択でしょう。/自分が生きる時代との緊張した知的対話なしには、時の試練に耐えるテーマを発見することは難しいでしょう。それだけに、ゴーイング・マイ・ウェイの精神、内面的要求から出たテーマの選択が、現代史ではとくに求められるといえます。
溪内謙『現代史を学ぶ』(岩波新書、1995年)44頁ー45頁


 口幅った言い方だが、この文章を、私は同業者である科学史・科学論の大学院生や研究者たちにぜひ噛みしめて読んでもらいたいと思う。われわれの分野ではとくに気をつけなければいけない事柄に、関係していると思われるからだ。
 ところで溪内(ソ連政治史、1923−2004)のこの名著、今でも書店で入手できるだろうか。これから歴史研究をやりたい、というような人には真っ先にお勧めしたい本なのだが、手軽に入手できるようになっていることを祈る。
 溪内とは生前僅かに親交があったがーこの一事だけでも、私はとてつもない幸運に恵まれた人間だと思う。ここで、自慢していると受け止めないでいただきたいのだがー私が心の底から「先生」と呼びたくなる、数少ない学者のうちの一人である。先生は去年亡くなられたが、今でも私は、おりに触れてその著書に向かい合い、教えを乞うている。おそらくこれからもずっと、ご指導をお願いし続けるだろう。

(私ごときがこのようなところで著書から引用するのは先生に対して失礼に当たるだろうか。あるいは権威を引き合いに出していると思われるだろうか。いや、そんなことはない、と信ずる。)

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