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zoom RSS ロシア人科学史家の見た日本

<<   作成日時 : 2007/08/18 03:28   >>

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 昨日、一ヶ月ぶりに、当地モスクワでお世話になっている科学史研究所を訪ねた。この研究所、火曜日と木曜日の午後にはたいてい誰かいて、−もっとも、今はバカンスの時期であり、閑散としてはいるが−研究員の方々といろいろとお話をすることができる。そういう気さくな雰囲気の中、昨日も別段アポも取りつけず、ふらりと訪問した。
 昨日は、数学史のA氏と物理学史のD氏がいた。この二人、両方とも学会関係で日本に来たことがあるとかで、私の顔を見ると日本の印象をいろいろ話してくれた。今思い出せる範囲で、彼らの話を書きとめ、それに対しての私の感想も記しておきたいと思う。
 ちなみにA氏は推定年齢60歳程度、来日は1974年のことのようだ。D氏は推定年齢50歳程度、2003年に来日している。(両氏の名前と、来日時の国際会議の名前は、別に出しても困ることはないのだが、興味を持つ人も少なかろうから、伏せておく。科学史研究者などでこの点に興味をお持ちの方は、私あて直接ご一報いただきたい。)

A氏:日光に行ったんだが、そこの土産物屋でロシア語を流暢にお話しするご婦人がいたもんで驚いたよ。満州から来たんだと。
私の感想:1970年代には、引き上げてきた人々があちこちに生き残っていたんだな、と実感。しかし、いくら満州に白系ロシア人が多くいたからといって、ロシア語を流暢にしゃべれる日本人というのは、結構レアな存在だったのではないか。その人、どういう経歴の持ち主なのだろう。興味深い話である。

D氏:日本はどこもかしこも清潔だ。秩序がある。これは日本に独自の伝統と文明がある証拠だ。ドイツやイギリスにもそのような伝統がある。われわれのところにはそのようなものはない。道は汚いし、、ひどいもんさ。ヨーロッパ諸国と、日本は別格だね。
私:(まあモスクワの道や家屋はお世辞にもきれいとは言えないけれど)でも、ロシアにもそれなりの伝統と文明があるように思いますが、、
D氏:ありがとう。でも、日本と比べるとね。アメリカにも行ったことがあるんだが、あそこもわれわれと同様だ。道は汚い、…
私:アメリカもロシアと似ていますか?
D氏:似てる。伝統のなさといったら。
私:(いくらなんでもアメリカと同様に伝統と文明がない、というのは自国のことを卑下しすぎじゃないかと思うけど。あと、日本では、外国人を入れるような建物はやたら立派だけど、一般人の住居といったらモスクワと比べても割とみすぼらしいもんですよ。この人に一度、電信柱に囲まれた、緑地の少ない日本の住宅地を見せてみたいもんだ)
D氏:(そんな私の感想にはお構いなく)ところで、日本の受け入れ先で世話をしてくれた秘書の日本人女性は興味深かった。かわいげがあるというか…突っ張って、「私は自立した女性よ」という姿勢を見せようとするわりに、ところどころぼろを出して、妙に丁寧な姿勢をとるんだなあ。
私:つまり…彼女の中に矛盾があると?
D氏:そう、興味深かったよ。
私:(それはなんとなくわかる。わが国では、特に教育を受けた層の女性の中に、そういった実例を多く見出すことができる。彼女たちは、日本の前近代的な慣習に反抗・抵抗しようとして奮闘するのだが、どうしてもそこから自由になることができない部分を残していて、時にそうした内的矛盾・葛藤がふるまいの奇妙さ、というか、不自然さとなって現れることがある。これは一種の悲劇、と言えるかもしれない)
D氏:(そんな私の感想にはお構いなく)ところで京都ってのは、あれは、奇妙に聞こえるだろうが、私にはヨーロッパ的な雰囲気の町のように思えたね。
私:ヨーロッパ的、ですか??
D氏:道の狭さ、建物の構え、あれやこれやがね(そのあと京都の感想があれこれ続いたが省略)。
 広島にも行ったが、驚いたよなあ。完膚なきまでに破壊されたあとで、よくあれだけ持ち直したもんだ。近代的な道なりといったらもう・・・
私:(私も広島に何度か行ったことがあるのでよくわかる。あの街の近代的で整然とした街並みには、かなり衝撃を受けた)でも、60年たっていますから。
D氏:まあ、60年たっているけどね。ところで、学会で感じたんだが、日本の学術的集まりの雰囲気は実にいい。みんなほんとうに真剣に人の話を聞いてくれるし。われわれの国とは大違いだ。
私:いやあ、それは、国際会議だったから、ですよ。
D氏:いやいや、でもね、日本のある有名な物理学者(注ー名前は伏せる)の同僚世代の方々が来ていたんだが、よぼよぼのおじいさんなのにもかかわらず、実に鋭い質問を投げかけてくるのには驚いた。大変いい雰囲気だったね。
私:(まあ、そのときはそうだったのかな。それにしても、私の経験から言うと、議論を丁々発止、真剣にやるのはむしろロシア人のほうで、われわれのほうこそこの点を見習わねば、と思っていたのだけど、意外な意見を聞いたもんだ)
D氏:(そんな私の感想にはお構いなく)ところで東京のホテルなどで感じたんだが、とにかく日本は技術的な応用をよくやる国だなあ。ホテルなんか、まるで宇宙船の中にいるように感じたよ。
私:(笑って)宇宙船?
D氏:そう、なぜかって、何でもかんでもオートメーション化されているし。そのくせ、部屋は狭いものだから、宇宙船みたいって思ったね。われわれの国じゃ逆だ。ホテルの部屋は広いが、何もない。
私:(笑)
A氏:空港の上をモノレールが走っているしね。
D氏:そう。電車もすごく立派だった。ただ、駅はあまり気に入らなかったなあ。

 まあ、そのような感じで和気あいあいとした会話が続いた。いうまでもなく、上のト書きせりふ〔8月18日訂正。何をトチ狂ってたんだ俺は〕には、省略、脚色が多数含まれている。上に挙げた部分についてはこちらの致命的な聞き違いはなかったと思うが、、一応言い訳しておく。
 私はといえば、この会話の間、()の中に囲まれたようなことをいろいろと反論してみたかったのだが、いかんせんロシア語力の不足と度胸の不足ー語学力と度胸はわりと表裏一体ではないか、という気が最近しているので、並べて挙げてみたー、そして、D氏の、口を挟むのも許さないような機関銃的なしゃべりゆえに、こちらから話を切り出すことはあまりできず、対話はいまいち成り立たなかった。残念。
 いやはや、おしゃべりの人間に対しても「でもね…」とすぐさま口を挟めるようになりたいものだ。これは、語学力だけでなく、性格の改善も要求される事柄であって、なかなかハードルの高い課題ではあるが。

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